INTERVIEW

コミュニケーション力が組織を強くする

沖本るり子

2016.05.31

人財育成家 沖本るり子氏インタビュー

より強い組織となるために必要なものとして注目を集めるアメリカ生まれの人材育成法“コーチング”。それはいったい、どんな方法で、何をもたらすのか。これまでいくつもの大手企業で“コーチング”を指導するほか、メディアでも活躍する人財育成家の沖本るり子氏に“コーチング”がもたらす効果について伺いました。
【プロフィール】
●人財育成家
株式会社CHEERFUL代表。「5分会議」を活用した人財育成家。プレゼン、リーダー、コミュニケーション力などを向上させる人財育成や組織活性化のコンサルタントとして活動中。強み弱みではなく個性を活かす手法で研修や講演も行っている。

変わりはじめてきた日本の組織のあり方

——都市部では定着してきた印象のある『コーチング』ですが、そもそもどのようなものなのでしょうか?

沖本るり子氏(以下、沖本):主に二つのスキルからなっています。一つはコミュニケーション・スキル。そしてもう一つは、個人及び組織の目標を達成させるためのサポートをするスキルです。

——具体的に教えてください。

沖本:元々は“目標達成”がメインでした。でも、そのためには信頼関係がないとダメですよね。そして信頼関係を築くためには話し方や聞き方から気をつけなければいけません。

つまり、結局ベースとなるのはコミュニケーションじゃないか、と。だからコミュニケーション・スキルがあって、その先に目標を達成するための施策がある…それを総称して“コーチング”と呼んでいます。

——一般企業であれば、『利益を上げる』ことが目標。それを全員で達成するために必要な考え方の一つですね。

沖本:目標に向かうという意味では、会社も病院も一緒です。病院であれば、医師、歯科衛生士、事務方、そしてお客様である患者…そのすべてとうまく関わらなければ、来院者数…わかりやすく言えば売上は向上しません。

——そのために問われるのは院長先生など、リーダーの考え方ですか?

沖本:リーダーだけではなく、スタッフにも、さまざまな考えの人がいます。それなのに日本は個性を出してはいけないという考えが、いまだに根底にあります。それに対して“コーチング”は個性を大事にするアメリカから入ってきた考え方です。

いかに自己主張するか…多民族国家であるアメリカは歴史の中で自然と育まれていったと思うのですが、それが最近、日本でも必要だと考えられるようになってきています。

——今までの日本式の考えではいけないということに気づいたということですか?

沖本:昔との大きな違いは、情報伝達のスピード。インターネットの普及によって仕事のやり方やスタイルを変えざるを得なくなったのです。

自分事化できると組織は強くなる

——沖本さんが説いていらっしゃる、コミュニケーションが活発になる会議の進め方を教えてください。

沖本:普通は院長先生などが司会役になりますよね。それをやめましょう。毎回司会は変え、役割を移していくんです。

すると相手の立場になって物事を考えることができるようになる。自分事化できるんです。そこまで考えて臨めるようになれば、会議の質そのものが良質なものになっていきます。

——会議以外にも波及しそうですね。

沖本:考え方やものの見方まで変わっていきますよ。それまで正面からしか見えていなかったものが、横からや裏からも見られるようになる。すると生産性も上がっていくはずなんです。

病院って役割が分かれているじゃないですか。そのためにお互いの能力を知らなかったりする。もったいないですよ。コミュニケーション・スキルが上がることで、より一体感が生まれ、組織が生き生きとしてくるんです。

——働く環境としても大切なことですね。

沖本:いい職場でなければ、すぐに辞めてしまいます。すると患者も“あれ?また人が違う”と不安になります。

沖本るり子

——そういう場所にするために、院長や事務長などが会議の進め方やコミュニケーションの取り方を考えなければいけませんよね。具体的にはどうすればいいのでしょう?

沖本:人の話を否定しないことです。たとえ違うと思っても、それは自分の考えとは違うだけ。それだけの理由で否定してはいけません。

——一度受け止めて考えるということですか?

沖本:その上で“自分の考えはこうなんだけど、どう思う?”と返していく。否定ではなく、肯定することからコミュニケーションを始めると、自ずと距離感が近付いていきます。

——経験値がある分、若い人の意見を肯定するのは難しい場合もありますよね。

沖本:経験ではなく、考え方が違うと捉えるのです。もちろん、相手が間違っていることもあるでしょう。でも、それを否定して気づかせるのではなく、いったん受け入れる。

そして考えさせる。すると自分の中に“気づき”が生まれます。指摘するより、その方が深く納得するんです。

——経験してはじめて次のステップにすすめるということですね。

沖本:回りくどいやり方かもしれませんが、結局はそれが近道だったりする。だからいつも話しているんです。“コーチングには忍耐が必要です”と。

でも、続けていけば最終的に、“動かす”ではなく“自ら動く”というふうに変化していきます。コミュニケーション力を全員で磨いていけば、とても強い組織になると思うのです。

まとめ:コミュニケーション力が組織を強くする

■異なる世代のコミュニケーション法

年齢を意識し過ぎないこと。大切なのは一人一人にきちんと接することです。相手はどんな考えを持ち、どんな行動をするのか。それを理解し、否定しないこと。とにかく一度、相手を認めた上で話を始めましょう。相手を否定してしまったら、そこでコミュニケーションは途絶えてしまいます。

■まずは自分を知ることそこから始めましょう

経営者の中にも自分のことを知らない人が意外と多いんです。でも、自分のことがわからなければ、他人もなかなか理解できません。自分で気づくことが難しければ、人に尋ねてみましょう。でも、そこで怒らないようにしてくださいね(笑)。自分を知ることで、相手がもっと見えるようになります。

■スタッフをもっと成長させるためには?

コミュニケーションがあるということは、信頼関係ができているということ。信頼していれば、ある程度、ストレートな話し合いができますよね。するとミッションのハードルが上げやすくなるんです。それによってスタッフが少しずつ成長していけば…組織はどんどん強くなっていきますよね。