インタビュー

外貨投資をはじめるならまずは“外貨預金”がオススメです

國場弥生

2016.01.12

ファイナンシャル・ プランナー 國場弥生氏インタビュー

資産形成の方法にはさまざまなものがありますが、2016年に注目したいのが“外貨預金”。2015年暮れにアメリカの中央銀行が9年半ぶりの“利上げ”を発表。今後、世界経済にどのように影響していくかが注目されています。そんな中で外貨預金にはどんなメリットとリスクがあるか、ファイナンシャル・プランナーの國場弥生さんに伺いました。
【プロフィール】
●ファイナンシャル・プランナー
早稲田大学院ファイナンス研究科修了。証券会社勤務時に個人向けの資産運用プラン作りを行う。FP転身後は、個人相談、書籍や雑誌・Webサイト上での執筆活動を幅広く行っているほか、All About「外貨投資」のガイドも務めている。(株)プラチナ・コンシェルジュ取締役

金融界のビッグニュース アメリカの利上げ

——まずお伺いしたいのが、“外貨投資をするタイミング”です。

國場弥生氏(以下、國場):現在お持ちの資産が円ばかりという方はすぐにでも検討することをおすすめします。私たちを取り巻く環境と同様におサイフの中もグローバル化するのが自然な流れではないでしょうか。

とはいえきっかけや具体的な目的があった方がはじめやすいかもしれません。例えば、お子様の留学を見据えてなど。

——開業医の方々の中にはご子息を留学させる方もいらっしゃいますね。

國場:ですので留学先の国の通貨で預金をはじめてみようというのは、ひとつのきっかけになるのではないでしょうか。

——ご子息の留学先となれば、政治や社会状況なども気になるので、さまざまな情報を入手するきっかけにもなります。

國場:例えば留学先がアメリカだった場合。いまアメリカはホットな状況にあると言えます。ひとつは大統領選挙です。

トランプ氏の発言などの話題が先行していますが、政治が大きく動くときというのは経済にも社会にも少なからず影響がありますから。

——アメリカといえば、2015年暮れに大きなニュースがありました。

國場:アメリカの中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が、リーマンショック後に続けてきたゼロ金利政策を解除して、利上げをはじめると決めたことですね。2016年6月以来ですから、実に9年半ぶりのことです。

——理由としては、雇用が改善したことなどが上げられています。

國場:専門家の評価も分かれるところですが、今後の動きを見ていく必要があると思います。恐らく2016年は複数回、利上げが行われるでしょう。

——外貨投資の側面から見た場合は?

國場:これまでアメリカはゼロ金利で、日本と変らない状況にありました。ですが、利上げがはじまったことで、外貨預金・・・米ドル預金の魅力は増していくと思います。

——では米ドル預金に動いた方がいい?

國場:アメリカの金利が上がるにつれて米ドル預金の金利も上がることになりそうですが、為替レートの動きにも配慮する必要があります。

また数ヵ月ごとに金利が上がる可能性もあるので、定期預金をするにも1ヵ月とか3ヵ月といった比較的短期のものがいいでしょう。長期に渡って金利を固定しないほうが得策です。

外貨投資をはじめるなら“外貨預金”から

——具体的に外貨投資は、どのようにはじめるのがよいのでしょうか。

國場:外貨投資にはさまざまなものがあります。国内の投資と同様に不動産や株式もありますが、これらは、土地の価格や株価自体が変動し、さらに為替レートも動くので両方に注目しておかなくてはいけません。

それに対して、“外貨預金”や“FX”、“外貨建てMMF”などは為替レートの動きを把握できればおおよそ問題ありません。その中でも初心者の方は“外貨預金”からはじめるのがいいと思っています。

——外貨預金は使い勝手が悪いという話を聞く事もありますが・・・。

國場:以前は、手数料が高いとか為替レートが市場の動きに連動していないとか言われましたが、状況はずいぶん改善したと思います。とくにインターネットを利用したオンライン取引は使い勝手がいいです。

——インターネット専用の銀行も誕生していますが、メリットはありますか。

國場:外貨預金は、銀行によって扱う通貨が異なります。メガバンクは5〜6種類くらいが一般的。米ドル、英ポンド、ユーロ、カナダドル、オーストラリアドル、ニュージーランドドルあたりですね。

それ以外の通貨となると普通の銀行では手に入らないんですが、インターネット専用銀行にはさまざまな通貨を揃えているところもあります。

國場弥生

外貨預金は複数の国を組み合わせて運用する

——お付き合いのある銀行の担当者に相談し、そこが扱っている通貨からスタート。慣れてきたら他の通貨も検討してみるのが、いいのかもしれませんね。

國場:ひとつ言えるのは、外貨預金も株式や不動産同様に、いくつか組み合わせた方がいいんです。

——リスクを回避するためですね?

國場:ただ複数の外貨預金をすることは、それだけ入手しなければならない情報が増えるということです。アメリカやヨーロッパなら日常的にニュースを見ていれば、ある程度はわかりますよね。

——ニュースの終わりに“今日のニューヨーク市場”とか“1ユーロはいくらです”とやっていますからね。

國場:でもオーストラリアやニュージーランド、ましてやブラジルなどは自ら情報を取りにいかなければなりません。すると、時間が必要になってくるんですよ。

——お忙しい医師の方には、やはりハードルが高いのでしょうか?

國場:それも考慮しての組み合わせ方だと思います。例えば米ドルやユーロなどはご自身の知識の幅をより広げるためと考えて自分でウォッチする。それ以外はプロに任せるという選択肢もあります。

——その場合も外貨預金ですか?

國場:プロに任せるには投資信託が適しています。投資家から集めた資金をファンドマネジャーと呼ばれる専門家が運用してくれるので便利です。

投資対象は世界中の債券や株式、不動産、通貨や原油などバラエティに富んでいます。とはいえ、自分はまったく理解しないまま大切なお金を任せるわけにはいきませんから、最低限の知識は必要ですが。

——自分で管理しているものと、任せているものが分かれていると、なかなか全体像が見えませんよね? いい管理方法はありますか。

國場:最近では一元管理できるアプリケーションもあります。でも、それもなかなか難しいという方は、例えば年末年始や確定申告の時期などにすべてを集めて確認してはいかがでしょう。

そのうえで翌年の方針を立てるということをすればよいと思います。

リスクは消せないが和らげることはできる

——方針を立てる上のポイントとして、いかにリスクを避けるかということがあると思います。外貨投資のリスクとは?

國場:外貨預金の場合、外貨建ての元本は保証されます。1万米ドル預ければ、その1万米ドルが減ることはありません。ただし円に換算すると、その時々の為替レートによって増えたり減ったりしてしまうんです。それが“外貨預金のリスク”ですね。

——だとすると、そのリスクを消すことはできませんよね。

國場:消すことはできませんが、和らげることはできます。先ほどお伝えした複数の通貨を組み合わせる方法と、複数回に分けて投資していくという方法があります。

——どういうことでしょうか。

國場:例えば外貨預金をするための資金が500万円あるとします。これを一度に外貨に換えるのではなく、複数回に分けるのです。

100万円ずつ5回に分けて外貨に換えるとその時々で為替レートが異なるので全体的にみると平準化されますよね。為替レートの動きにはサイクルがありますから、時間をかけて投資することが大切です。

——理屈はわかりますが、面倒そうです。

國場:自動的に積み立てていくシステムを持つ銀行もあるので、活用してもよいのではないでしょうか。

——お話をお伺いしていると、自分でできる範囲のことは勉強しながらはじめ、ある程度はプロに任せることも考えれば、外貨投資もできそうですね。

國場:ご存知のように日本の金利はずっと低いですよね。でも、それも世代によって受け止め方が違うと思うんです。30代くらいの若い世代の方は社会に出たときにすでに不景気でしたからこんなものかと受け止めがちです。

一方、上の世代のみなさんは金利が高い時代をご存知だからこそ、焦りを感じている方もいらっしゃると思います。

——国の政策は「貯蓄から投資へ」ということで、制度は国で作るから運用は個人でという印象があります。

國場:国に任せきりにはできない時代ですから、どの年代の方も自立した資産設計が必要だと思います。

——そのひとつが外貨投資ですね。

國場:確かにリスクはあります。でも、開業医のみなさんであれば、経営自体、リスクを伴うもの。

“不確実なものにトライしなければリターンは得られない”という思いはお持ちなのではないでしょうか。その意味では外貨投資も同じ。トライしてみてはいかがでしょう。

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