INTERVIEW

プレミアムからスポーティまで。 ますます広がるクルマの楽しみ方

飯田氏 インタビュー

2015.10.05

自動車ジャーナリスト 飯田裕子氏インタビュー

お医者様の中にはクルマ好きな方も多いのではないでしょうか? 最近ではラグジュアリーな高級車といってもエコ技術の進化したものなど、さまざまなタイプが登場しています。そこで自動車ジャーナリストの視点から、いまはどんなクルマの楽しみ方をすればいいのか、お話していただきました。
【プロフィール】
自動車ジャーナリスト。自動車メーカー勤務のあとフリーランスの自動車ジャーナリストへ。「人とクルマと生活」という視点で女性にもわかりやすい評論に定評がある。国内外で活躍したレーシングドライバー飯田章氏は弟。OL時代には一緒にレースに参戦していたことも。現在は安全とエコの啓蒙活動に取り組む一方、ドライビングインストラクターとしても活躍している。

キーワードは“エコ”と“スポーティ”

——プレミアムブランドもあれば、エコが得意のブランドもある。その一方でドライブすること自体が楽しそうなスポーツカーもある。いま、クルマはどうやって楽しむのがいいのでしょう?

飯田裕子氏(以下、飯田):大きな流れとしては、両極端な流れがあり、2つのキーワードで語ることができます。ひとつは“エコ”。

これは軽自動車やコンパクトカーはもちろん、レクサスやBMW、メルセデスといったプレミアムブランドでも同じ。地球温暖化であるとか、ガソリンなど化石燃料の将来を考えたとき、避けることができないことです。

しかし、その一方で“スポーティ”というキーワードもあります。

——“スポーティ”というと、エコから離れる気がしますが?

飯田:ここ数年、日本は魅力的なスポーツカーを続々とリリースしています。その先鞭となったのがトヨタ86とスバルBRZ。スタイルからして、ちょっとノスタルジックなムードでクルマ好きの話題を集めました。そして今年はホンダからS660という、オープンスポーツカーが出ました。

——軽自動車とはいえ、トップグレードは200万円以上。オプションなどつけたら、それなりの金額になってしまいますね。

飯田:そうですね。やはり今年登場したマツダのロードスターとともに、購入者は年配の方が少なくありません。

——セカンドカーとか、若い頃に乗っていた夢をもう一度、という感じなんでしょうね。

飯田:それにこのあたりは“スポーティ”というだけでなく、“エコ”でもあります。以前の“スポーティ”のイメージは大排気量でガソリンをたくさん使ってパワーを出すという感じですよね。いまもそういうクルマもあるし、それはそれで魅力があります。

でも先ほど名前を上げたクルマはいずれもエンジンは小さく、燃費も悪くはありません。あり余るパワーでスピードを楽しむのではなく、エンジン以外の部分…例えばハンドリングであったり、足回りの性能であったりといったものでスポーティなドライブを楽しめるものなんです。

ディーゼルは昔と違うんです

——地球にやさしくて、運転して楽しいなら、いいことづくめですね。

飯田:そんなふうに、昔のイメージとは違うクルマは、ほかにもありますよ。例えば“ディーゼル”。どうしても黒い煙をまき散らしながら走る姿をイメージする人が多いと思います。でも、いまは決してそんなことはないんです。

——メルセデスやBMWにもディーゼルはたくさんありますよね?

飯田:ヨーロッパでは、スタンダードなんですよ。ずいぶん前から。でも日本だと“働くクルマ”というイメージでした。そのイメージが最近変わりつつあります。

きっかけはマツダですね。いまロードスターを除くすべての車種にスカイアクティブという新たな思想のもとに生まれたディーゼルエンジンを採用しています。これが力強く、そしてクリーンなんですよね。

——プレミアムブランドのディーゼルはどうなんでしょう?

飯田:お医者様のみなさんですと、例えば学会でヨーロッパなどに行かれた時、ディーゼルに乗っている方もいらっしゃるのではないでしょうか? それくらいにヨーロッパの高級ブランドはディーゼルを進めています。

すでにガソリンエンジンと比べても、パワーやトルクで劣るということはないに等しい。むしろ、一度知ってしまうと、病み付きになるかもしれませんよ。その猛々しいトルク感に。

——そんなにですか? 音などはどうでしょう? 静かなんでしょうか。

飯田:もちろんディーゼル特有の音がまったくないわけではありません。でも、そもそもプレミアムカーは遮音性が高くなっていますよね。だから車内で音が気になることはないと思います。多少グレードが下がると音が入ってきますが、メーカーによってはそれも考慮しているんです。

——どういうことですか?

飯田:クルマにとって音というのは大事。エキゾーストノート(排気音)を、エキゾーストミュージックというくらいですから。ディーゼルでも音を聞いて盛り上がるような演出をしているクルマもあるんですよね。

飯田氏 インタビュー

——つまりは捉え方ということですかね?

飯田:静粛性をつきつめるなら、ガソリン車やハイブリッド…もっと言えば電気自動車や水素自動車ということかもしれませんけどね。ただ自動車を操縦しているんだという感覚を持ち続けたいというと先にお話ししたスポーツカーやディーゼルも面白いと思いますよ。

“ぶつからないクルマ”の魅力

——最近は安全性能の進化も目覚ましいですね。

飯田:CMでもよくやっている、“ぶつからないクルマ”というやつですね。スバルのアイサイトをはじめ、いまではほとんどの国産メーカーに用意されていますよね。実際、効果は高いんです。追突事故ははっきりと減少していますからね。

——いまひとつ、信用できないところがあるんですが?

飯田:年配の方には多いようです。でも、それは本当にもったいない。あんなにラクに、安全を手に入れるものはないのに…。

——ほかにも高速でレーンを外れたら教えてくれたり、いまは安全性能の進化が目覚ましいですよ。

飯田:そういったものは、ヨーロッパよりも日本の方が進んでいるところがあったんです。でも徐々にヨーロッパのクルマにも搭載されるようです。近々、安全機能の装備の義務づけが法制化されると聞いていますから。

——メルセデスも“ぶつからないクルマ”になるわけですね。

飯田:だから、これからはクルマの選択肢がさらに広がっていくと思いますよ。エコカーもあればスポーツカーもある。プレミアムカーもあればミニバンもある。

動力もガソリン、ディーゼル、ハイブリッド、電気、水素とさまざま。だからこそ、クルマ選びとカーライフを楽しんでほしいですね。自分のライフスタイルに合うクルマがきっとありますから。