ファイナンス

2017年の経済ニュースまとめと今後の経済予測

2018.01.08

2017年の重大ニュースと経済動向を振り返る

みなさまにとって2017年はどのような1年でしたか?
2018年最初のファイナンスコラムは、昨年の経済ニュースを振り返り、今後どのようなことが予想されているのかをお伝えします。

ドナルド・トランプ氏、第45代アメリカ合衆国大統領に就任

1月20日に就任したトランプ大統領は、国内産業の保護や貿易赤字の改善をマニフェストとして掲げ、既に下院上院ともに可決された法人税を35%から20%に引き下げる法案をはじめ、所得税や遺産税など次々と税制改定に着手。
その反面、日本を始め全ての輸入品に20%以上の関税をかけると公約し、就任前からトヨタのメキシコ工場の建設を批判するツイートをするなど、世界中に波紋を呼んでいました。
また、イスラム教徒の入国を制限し、シリア難民の受け入れを無期限停止にしたり、メキシコとの間に壁を作ったり、TPPやパリ協定、ユネスコから離脱するなど話題に事欠きません。
2017年アメリカの実質GDP成長率は、2.18%(IMFによる2017年10月時点の推計)で、2018年には3年ぶりに2%台後半の成長を達成するだろうと言われています。
2018年も更なる減税施策やインフラ投資促進の影響が本格化し、経済に大きな影響を与えること間違いなしでしょう。

実質賃金5年ぶりに増加

2月6日に厚労省によって発表された毎月勤労統計調査によると、物価の影響を除いた2016年通年の実質賃金は2015年時点と比べて0.7%上昇し、実質賃金が前年比で増加したのは5年ぶりとなりました。
また、今年は10月1日~14日の間に全国で最低賃金が順次引き上げられ、全国の都道府県の最低賃金を加重平均すると823円から848円に25円の増加となりました。
ただし、同じく2月よりスタートした「プレミアムフライデー」をはじめとする政府の働き方改革により、今後、残業代が減少すれば、賃金の押し下げ要因になると言われています。

8年連続の人口減少、出生数も初の100万人割れ

厚生労働省が6月2日に発表した人口動態統計によると、2016年に生まれた子供の数は97万6979人と、1899年に統計を取り始めてから初めて100万人を下回りました。
8月に総務省が発表した1月1日時点での人口動態調査においても1億2558万3658人と8年連続の減少となっています。
1人の女性が生涯に産む子供の数は前年比0.01ポイント下がり1.44となっており、日本の人口は2053年に1億人を割り込むという予測も出ています。

東芝 上場廃止を回避

2015年に不正会計問題が発覚し、2017年8月1日には債務超過を理由に東証2部に降格され、経営再建中の東芝は、同年8月10日に同日が期限となっていた有価証券報告書を関東財務局に提出しました。
監査法人のPwCあらたは、決算内容がおおむね妥当である「限定付き適正」という評価を下したことから、東芝は東京証券取引所の上場廃止を一時免れた形になりました。
不正会計問題では7年間で2248億円もの水増し会計が明らかになり当時のCEOを含む経営陣が辞任する結果となりました。
なお東芝は12月5日に第三者割当増資による約6000億円の払い込みが完了したと報告しました。この6000億円は債務超過の解消にあてられる予定のため、上場廃止は回避される見通しです。

iPhone8、iPheneX発売

2017年はiPhoneの初期モデルが発売されてから10周年に当たる年でした。その記念の年に発売されたのがiPhoneX(テン)とiPhone8。
iPhone8は背面がアルミからガラス製になり、非常に美しいデザインに仕上がっています。一方iPhoneXはホームボタンや指紋認証を廃止し、新たに顔認証技術が導入されました。

FRBが資産縮小を開始

FRBは9月20日に行われたFOMC(連邦公開市場委員会)で、2008年から行われていた異次元の金融緩和を正常化させるために、保有している大量の米国債をはじめとした資産を徐々に縮小していくことを決定しました。
FRBの資産縮小は、オートパイロットでゆっくりと行われる予定で、債券市場に与える影響は小さいものとみられています。

自民党の圧勝で幕を閉じた衆院選

10月に行われた第45回衆議院銀選挙は、小池東京都知事をトップに据えた希望の党の出現により野党が分裂したりするなど波乱の展開になったものの、終わってみたら自民党が284議席を獲得し、単独で過半数を大きく超える勝利を飾りました。
失業率の低下や株価の上昇など、アベノミクス政策が今のところは上手くいっているというところが広く支持されたひとつの理由のようです。
自民党は消費税増税を予定通り2019年10月に行う予定で、増税によって得られたお金は教育費無償化などの財源に充てられるとのことです。

日経平均バブル後最高値を更新

10月20日の東京株式市場で日経平均株価はおよそ57年ぶりに、14日連続の値上がりを記録しました。
また、11月7日には、日経平均株価が終値2万2937円まで上昇し、連日で年初来高値を更新してバブル崩壊後の最高値を更新しました。
日経平均が好調な理由としては、商社などをはじめとした主力企業の業績が上がったことや、国内の財政・金融政策が軒並み上手くいっているという市場の評価が反映されたようです。
その後日経平均は2万2000円台程度まで下落していますが、19000円台だった年初に比べると、この1年は日本経済が軒並み好調だったと言えるでしょう。

有効求人倍率 43年ぶりの高水準

12月1日に厚生労働省が発表した有効求人倍率は1.55倍と1974年1月以来、43年ぶりの高水準となりました。
2018年3月卒業予定の大卒求人倍率も1.78倍と前年の1.74倍とほぼ同水準で売り手市場が続いているようです。
ただし、従業員規模別の求人倍率を見ると、従業員5000人以上0.39倍(前年0.59倍)であった一方、300人未満は6.45倍(前年4.16倍)とより大手に希望が集中し、建設業や流通業など大幅に求人倍率が上がった業界もあり、従業員規模間及び業界間格差が拡大しています。

ビットコインの高騰

年初には10万円程度だったビットコインが、1年間で20倍以上の高騰を見せました。
また、12月には約230万円まで上昇した後、約150万円まで暴落したことは記憶に新しいのではないでしょうか。
その間にビットコインは2度分裂し、8月に「ビットコインキャッシュ」10月に「ビットコインゴールド」と規格が分裂し、新通貨が誕生しています。
9月上旬に、中国当局がICOを禁止した際などには、一時的に仮想通貨市場の縮小懸念により、仮想通貨価格が下落する場面もありましたが、ビットコインのみならず仮想通貨市場はこの1年で大きな盛り上がりを見せ、仮想通貨の合計の時価総額は急激に上昇しています。
金融庁はこの仮想通貨の盛り上がりに対して、投資家を保護する目的で安全な取引所と仮想通貨を指定したホワイトリストの作成を開始しました。
また、仮想通貨投資によって得られる利益は雑所得になるというタックスアンサーも国税庁によって発表されています。
雑所得になるといことは、つまり、株式投資のように、仮想通貨投資によって得られた利益と損失を通算することができず、トータルで損をしていても課税される場合があるということです。
仮想通貨投資をされる場合は、この課税の仕組みにも注意して投資を行いましょう。

天皇陛下の退位

天皇陛下が「生前退位」の意向を示された2016年より、1年以上議論が行われてきたこの問題も、12月8日、退位の日程が2019年4月30日に決定し、新たな元号は5月1日から用いられることとなりました。
江戸後期の光格天皇(1771-1840)以来、明治維新以後始めての譲位となる予定です。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部
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