FINANCE

お金の大事さやありがたみを教えるマネー教育

富裕層の金銭教育

2017.11.20

富裕層の金銭教育〜財産を持つ者はいかに子弟に教育すべきか〜

資産運用や投資などお金に関する知識は、人生において非常に重要であるにもかかわらず、日本ではそれを学校でくわしく習いません。

たとえば小学校では「家庭科」で「物や金銭の大切さ・計画的な使い方、買い物(適切な購入等)」などを学びます。また中学校では「社会科(公民)」で「価格の働き・金融などの仕組みや働き」などを学ぶことになっています。ただし労働や消費についての言及は多いものの、個人の投資や資産運用という視点での教育はほとんどなく、これは高校の課程でも大きく変わりません。

こうした学校での指導・教育のせいと言うわけではありませんが、日本は特に、他人と金銭にまつわる話をすることはタブー視される風潮があります。「投資は悪である」という考え方もいまだに存在します。このような環境下では、わが子の金銭感覚は親が率先して身につけさせなければなりません

医師の家庭に生まれると、その時点ですでに経済的アドバンテージを手にしている場合が多く、平均的な家庭と同じでいいのかという疑問も生じます。果たして子どもにどういう教育・しつけをすべきなのでしょうか。

■「裕福に育てる派」の意見

教育方針もいくつかのタイプに分かれます。まず1つが、親の生活レベルをそのままわが子にもあてはめるパターンです。

このパターンの方は、衣食住だけでなく、幼いうちから習い事や学費、玩具などにお金をかけます。富裕層の多くは教育を投資ととらえているためです。そのため、「子どもの能力が伸びるなら」と、子育てにも予算を多くかけるのです。

裕福に育てるといっても、やみくもに甘やかして贅沢をさせたり、都度高額な小遣いを与えたりするのではありません。

投資教育という観点では、村上ファンドで有名な村上世彰氏が、小学生3年生のころ、大学卒業までの小遣いとして100万円を受け取り、投資を始めたという話が有名です。一見、羽振りがいいようですが、何も無駄遣いをさせようと渡すわけではありません。そこには、「計画的に使ってほしい」という親の願いが込められているのです。経済的な余裕があってこそできることですが、村上氏をはじめ、11歳で株式投資を始めたと言われる世界的投資家のウォーレン・バフェット氏など、幼少期から投資を学んだことが実を結んだ事例も複数存在します。アメリカでは子どもにレモネード売りを通して小遣い稼ぎをさせる習わしがありますが、その感覚とも通じると言えそうです。

近年では早々に子女を海外留学させる親が増えています。これも「お金」という手段を使って、子どもにまたとない経験や自立心を養わせようとしているものです。

■「倹約して育てる」派は?

一方で、必要なところにお金をかけていても、それ以外は世間一般と同じように、あるいはそれ以上の意識を持って質素に育てる家庭もあります。特に代々脈々と資産を受け継ぐ富裕層は、自分の代でどれだけの額を守れるかが重要視される傾向にあると言います。子どもが独立したとき、親の力を借りずとも自活させるため、あえて子育てにも倹約的な対応をする。これも1つの富裕層的考え方と言えます。

社会でリーダーシップをとる学生やビジネスパーソン約200人の意見を分析した『一流の育て方』では、いくらお金を稼げたとしても、管理の仕方を知らなければ意味がないと指摘します。アンケートコメントには、親が金銭についての会話をタブーとしていたため、一人暮らしに必要な費用がまったくわからず困ったともあります。

このように、親が教えないまま大人になってしまったケースは決して少なくないはずです。前者の裕福に育てる派の教育方法が「稼ぐ力」に焦点を当てたものとすれば、この倹約的な子育ては「使う力」、もしくは「守る力」に焦点を当てた教育方針と言えるでしょう。

倹約派は、子どもが「欲しい!」と駄々をこねたとしても、押しに負けて買い与えるより、きちんと言い聞かせることを選びます。家庭内のルールや親子の約束事に則して買い物をすることで、常識的な金銭感覚を身につけさせる狙いがあります。金銭的に余裕があるからこそ、一般家庭よりも一時の欲求を我慢させるのに苦労することも多いかもしれません。

金融先進国のアメリカに、お金の使い方自然と学べる「ピギーちゃん」と呼ばれるマネー教材が存在します。ピギーちゃんは、背中にSAVE(貯蓄)、SPEND(消費)、DONATE(寄付)、INVEST(投資)という4つの投入口があるブタの貯金箱で、お金と4種類に色分けし、意識的にお金を使う習慣を身につける効果があります。もし、マネー教育に迷ったらこのようなツールを使ってみるのも良いのではないでしょうか。

いずれにせよ、すでに資産があるからこそ、幼少期よりお金の使い方や金銭感覚が身につくよう子どもと接することで、わが子のお金に対する姿勢は敏感になります。これはリッチ派・倹約派ともに共通しているのではないでしょうか。裕福に育てるにしろ、倹約的に育てるにしろ、親がお金の大事さやありがたみを教えることこそ最も重要であると言えるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部