FINANCE

導入にあたってのハードルは?

ベーシックインカム

2017.06.12

ベーシックインカムVol.2

昨年のスイスでの国民投票の結果からも見て取れるように、このベーシックインカムという制度には、デメリットが多いと考える人が多いようです。

まず、最も大きな争点であり、導入するにあたっての大きな障害となるのは、その膨大な財政支出の財源をどこから持ってくるのかということです。

日本に当てはめて考えると、例えば国民1億2000万人に月10万円ずつベーシックインカムを支給しようとすると、年間144兆円の予算が必要です。平成28年度一般会計予算が約96.7兆円(内社会保障関連費は約32兆円)ですので、公的扶助を一本化し、その分の予算をベーシックインカムに回せたとしても全く足りず、財政を圧迫することは間違いなく、他の公的支出に資金を投じることが困難になるでしょう。その原資を確保するために増税は必須でしょう。増税することによりコストが嵩み、それが物価上昇につながり、更には国際競争力の低下につながると懸念されているわけです。

更に、ベーシックインカムによって最低限の生活を保障されているが故に、劣悪な環境、過酷な労働条件で働くことを選ぶ人が減り、それらの仕事の賃金を急上昇させざるを得なくなり、ある特定分野において急激な物価上昇を招くであろうことも懸念点の1つです。ただし、低賃金の仕事を好んで選ぶ人が出てくることも想定できるため、社会全体としてどの程度のコスト増になるのか正直導入してみなければわからない部分も多いようです。

また、働かずして定期収入が入ることにより、働く意欲が低下するのではという懸念もありますが、こちらも懸念されているほど労働意欲の低下は限定的であるように思えます。

何故なら、ベーシックインカムの導入によって、働くことを辞める人も若干名出てくるでしょうが、より高みを目指し、自己実現を望む人は働き続けることを選ぶはず最低限の生活が保障されるだけの不労所得が入ったことで、わざわざ生活レベルを落としたり、ぎりぎりの生活のまま我慢を続けたりする人が多数派になることは考えにくく、逆に現在ニートや生活保護等で立場が弱くなっている人の尊厳が守られるようになり、社会の中に自身の存在理由を求めて働きはじめる人も出てくるだろう。

こうして考えると、やはり日本においては、最も大きなハードルである財源の問題に対して解決の糸口が見つかるかどうかが、格差の縮小、自由や平等の実現という理想的な社会に近付ける鍵となりそうです。増税しても国際競争力が落ちない秘策が見つかるなどすれば別ですが、いくらベーシックインカム導入のメリットが大きく、理想的な状態に近付けるとしても、現在の社会保障関連費の何倍もの予算を捻出するには、かなりの時間が要するであろうことは間違いないでしょう。

理想的ではあるが、導入に対するハードルが高すぎる本施策。国に頼っているといつになるかわからないですが、次回は小規模な団体若しくは個人ベースでこの考え方を導入するとどうなるのか、事例を交えてご紹介します。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部