FINANCE

ベーシックインカム導入を検討する国や地方自治体の狙いとは?

ベーシックインカム

2017.06.05

ベーシックインカムVol.1

2017年4月24日。カナダのオンタリオ州が、貧困層4000人を対象に3年間にわたって、ベーシックインカム制度を試験導入すると発表しました。「ベーシックインカム」というと、昨年夏にスイスで国民投票によって圧倒的な反対多数で否決されたり、一昨年末にフィンランドが導入するという誤報があったり、今回のカナダに限らず、オランダやナミビア、ブラジルなどでも小規模で試験導入が行われていたり、日本においても新党日本や自由党、緑の党グリーンズジャパンがマニフェストに盛り込んだりしたことで、しばしば耳にするようになりました。さて、この「ベーシックインカム」ですが、そもそもどのような制度なのでしょうか?

この「ベーシックインカム」制度ですが、歴史を振り返ると、16世紀のイギリスにあった「救貧法」という貧民を救済するための制度にいきあります。そして今のベーシックインカム構想の原点は2人のイギリスの哲学者トマス・ペイン、トマス・スペンスが18世紀末に主張していた思想にあると考えられています。実は何百年も前から提唱されてきたものなのです。

ではなぜ最近になって、導入を検討する国や地方自治体が増えてきたのでしょうか?

そもそもの「ベーシックインカム」とは、政府が国民の最低限度の生活を保障するため、国民一人一人に一律で現金を給付する仕組みのことです。

現在の日本には、生活保護や年金、失業保険等の社会保障制度があり、生存権が保証されています。しかし、どれも一定の条件下でのみ給付される仕組みで、誰もが平等に受けられる制度はありません。それがゆえ、年金制度の破綻懸念や、働いているのに生活保護水準以下という逆転現象など、社会保障の歪みが浮き彫りになってきています。

そのような逆転現象や歪み、不公平感を是正するため、年金や生活保護等の社会保障を廃止し、ベーシックインカム制度に社会保障制度を1本化。その受給資格の審査等を一切不要にすることで、管理コストを削減することの意義を唱える人もいます。

ベーシックインカム制度の背景には、例えば生活のために残業や副業をせざるを得なかったり、非正規やブラック企業等悪い条件下でも働き続けるしかなかったりといった状況があります。

また、本当にやりたいと望む仕事では生活できないと夢を諦めたりする人が、最低限の生活を保障されることで夢を追えるようになるなど、別の選択肢を模索できる環境をつくることがあります。

このメリットの部分だけ見ると、既に導入している国があってもおかしくないのですが、まだ導入している国がないということはそれだけのデメリットとハードルが存在します。

次回はその理由について解説します。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部