FINANCE

地域医療での立ち位置を明確にする

DPC/PDPS制度

2017.05.01

DPC/PDPS制度を導入する? 未適用の医療機関が考えるべきこととは

DPC/PDPS制度が2002年に導入されて14年が経ちました。2015年時点で1,580病院、2016年時点で1,667の病院がこの制度を導入しています(厚生労働省保険局医療課「平成28年度診療報酬改定の概要」より)。

いわゆるDPC病院とは、「DPC/PDPS(Diagnosis Procedure Combination/Per-Diem Payment System)」という入院医療費の計算方法を採用している病院のことで、診断群分類(DPC)の1日あたりの包括評価部分(定額)と従来の出来高評価部分を合わせて診療報酬の額を計算します。

なお、DPC/PDPS制度は、入院患者だけに適用されており、病院や診療科にもよりますが、入院患者が支払う医療費の約6〜7割がこの制度の適用対象といわれています。仮に、病院収入の7割が入院患者からだとすると、病院収入の約半分近くがこの制度の影響を受けることになります。

■ DPC/PDPS導入で利益は変わるのか

今までは、DPC/PDPSを適用したほうが、診療報酬は従来の出来高払いに比べて、利益が上がるものと考えられてきました。これは、クリニカルパスを導入したり、後発医薬品(ジェネリック医薬品)を採用したりすることにより、今まで以上に管理コストが下がるとされていたからです。

しかし、導入された以降も実情に見合った制度なのか、中央社会保険医療協議会などで検討が重ねられています。診療報酬改定の度に見直しされ、診療実態を更に評価した体系に改められています。2018年にも、算定ルールの変更が予定されているなど、今後もより現場の状況に則した改定は進められていくでしょう。

今後もDPC病院は増えていくのでしょうか。また、DPC病院が増えることによって、診療所など他の医療機関へどのような影響があるのでしょうか。

■ 重要なのは地域医療での立ち位置

DPC病院のほうが得だとか損だという観点だけでなく、地域包括ケアシステムの中で、どのような役割を目指すのかを考えたうえで、制度を適用するか検討する必要があります。

病院にとっては、急性期病院を目指すのか、療養期あるいはリハビリ病院を目指すのかなどを考える必要があるでしょう。診療所においても、訪問治療を行う「かかりつけ医」になるのか、かかりつけ医として一般診療を行い、重症患者を急性期病院に送る役割を果たすのかは、高齢化が進む中で直面する課題といえます。地域終結型医療の中で、どの位置付けを取るのかは、病院にとっても診療所にとっても重要なことなのです。

この立ち位置を決めることは、医療機関の経営を考えるプロセスの第1段階にあるといえます。まず、地域包括ケアの中での位置付けを含めた「ビジョンの作成」を行い、そのうえでDPCの適応などを含めた「保険制度を考慮した戦略づくり」を考えなくてはいけません。

ビジョンと適用する制度が決まったならば、それに合わせて組織、加えて管理制度の構築を行い、仕組みづくりを完了させます。仕組みができ、その通りに運用できたとしても、医療機関を利用している患者の満足度が下がってしまっては、元も子もありません。適宜、患者満足度を調べながら制度との両立を模索しましょう。

制度を導入してある程度の期間が過ぎたら、結果を検証して今後の戦略づくりに活かしていくことが大切です。完璧なビジョンや戦略も、環境や法制度などの変化によって改定を余儀なくされることは珍しいことではありません。

これらを繰り返していくことで、地域医療での立ち位置を確立することができるのです。

■ 病院の大小問わず、DPC/PDPSに備える時代

まだ深い議論はされていませんが、診療所における包括制度も検討されています。診療所だから、リハビリ病院だから関係ないわけではなく、DPC/PDPSの変更を理解しておく必要があります。

人口減少のスピードも地区ごとに違いますが、国が「地域包括ケア制度」を強く推し進めていく大きな流れは変わらないでしょう。そのほか、急激にビッグデータによる患者動態、医療の実態などリアルワールドデータと言われる情報の分析も、今後は更に進んでいくと予想されます。

この流れによって、大きく医療制度は多く変化していくことが見込まれますが、その中でも確実にいえるのは、国が医療費の増加を抑制する政策の方針を変えることはないだろうということです。

将来を見据えて医療機関の経営をしていくことが強く求められている中で、DPC病院でない医療機関も経営を見直す過渡期を迎えているといえるでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部