FINANCE

不動産価格の高騰による影響とは?

不動産投資を始める上での注意点

2017.04.17

不動産価格高騰でローン審査厳格化? これから不動産投資を始める上での注意点

日銀がマイナス金利政策を導入してから1年が過ぎました。この異例の政策は日本経済にさまざまな影響を与えています。

その一つは、バブル再来を懸念する人がいるほどの不動産価格の高騰です。これにともない、「不動産投資用ローンにおける審査基準が上昇している」という声が聞かれるようになりました。

しかし、医師など高所得者なら、今からでも不動産投資を始めることはできるのでしょうか。その際の注意点もあわせて検証します。

■高騰する不動産価格

国土交通省が2017年2月3日に発表した「不動産市場動向マンスリーレポート」によると、不動産価格の目安となる不動産価格指数(住宅総合)は2016年10月まで23ヵ月連続して前年同月を上回っています。首都圏の中古マンション12月の状況も、成約平均価格は48ヵ月連続して前年同月を上回っています。

不動産価格が高騰しているにもかかわらず、首都圏の中古マンション取引は活発です。原因はさまざまですが、相続税増税に伴う相続税対策を目的とする不動産購入、中国などの富裕層からの不動産の爆買い、金融緩和によって融資を受けやすくなり不動産投資家の増加などに加え、オリンピック開催に向けた地価高騰への期待感も見逃せません。

■厳しくなる不動産投資用ローン審査

ここにきて、融資審査のハードルが上がってきているという声があるのはなぜなのでしょうか。

不動産投資への融資審査では、物件の収益性と積算価値による「担保価値」と、借り手の収入や職業、保有資産などの「属性」に重きが置かれます。借り手の属性が変わらなくても、不動産価格が上昇すると「担保価値」が上がり単純に利回りが下がります。

価格1億円、年間家賃1,000万円、利回り10%のマンション1棟が、1億1,000万円と10%値上がりしたら、利回りは9%に下がります。この背景にはマンション価格の上昇率に比べ、家賃の上昇率がかなり低いことがあります。つまり不動産価格が上がれば上がるほど収益性は下がって担保価値との差が生じ、融資条件が厳しくなるのはある意味当然と言えます。

■バブル期に多くの医師の陥った「不動産財テク」の落とし穴

医師をはじめとする高所得者は、金融機関にとって「属性」が高い“優良顧客候補”です。つまり、「医師免許」など安定的且つ継続的に高い収入が見込める保証があるため、平均的年収の会社員や自己資金が少ないグループが融資審査で断られた物件でも、審査に通る可能性が充分にあるということなのです。

不動産投資に限らず、何らかの投資を始める際、先人の失敗からの学ぶことは有意義です。ここで、バブル期に多くの医師が陥った間違い「不動産財テク」を振り返ってみましょう。

第一に、医師としての本業や家賃収入による着実な利益(インカムゲイン)よりも、不動産や金融資産の売買による大きな収益(キャピタルゲイン)に夢中になる例も見受けられました。多くの人が、所謂「土地神話」を信じ、高金利の状況下で、土地を担保に金融機関より借入れをし、またその資金で土地を買っていたことで、不動産価格の下落により立ち行かなくなり、多くの不良債権を生む結果に繋がったのです。これは、アメリカのサブプライムローンが崩壊した理由とも共通するものです。

また、当時の不動産価格の上昇率が今の比でなかったことは皆様がご存知かと思いますが、当時も前述の通り家賃の上昇率は非常に緩やかで、当然利回りも非常に低いものでした。これに加え当時は高金利であったため、不動産計画そのものが不動産価格の上昇頼みの設計となっていました。

不動産活用のスキームには、家賃収入から借入金の支払利息や減価償却費などの経費を差し引いて額面上の赤字つくり、それを事業所得や給与所得と損益通算し、節税するという手法がありますが、このスキームを利用して節税できる額を大きく超えるマイナス運用となっていたのが、急激な物件価格の上昇によって見えにくくなっていたのです。

■医師が不動産投資を始める上での注意点

医師が不動産投資を始めるにあたっては、その物件をどう収益化させるかの戦略が非常に重要となります。

インカムゲイン狙いであれば家賃収入と返済金額などによるキャッシュフローを重視し、キャピタルゲイン狙いであれば売却期待価格と購入金額による差益を重視して物件を選びますが、そのキャッシュフロー化させたり、売却したりする時期の目安を決めてから始めることもまた大切です。例えば一言でキャッシュフローといっても、リタイア後の年金目的であれば、運用開始時期から利回りが高く、現役時代の所得の高い時期に多く受け取れるものを選ぶのではなく、将来必要となる時期におけるキャッシュフロー化のしやすさで選ぶなど、見るべきポイントが変わってくるためです。

首都圏の不動産価格は上昇を続け、担保価値との乖離によって金融機関の融資は厳しくなっています。しかし金融機関は、医師などの高所得者が不動産投資によってさらに高い収入を得て、本業と不動産投資事業を拡大していくことを歓迎しています。何事も開始するに遅すぎることはありません。目先の利益にとらわれない長期的な計画を立て、ご自身の目的にあった商品・手法を見出すためには、まずは専門家に相談してみることから始めるとよいでしょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部