FINANCE

障がいを持つ子どもの人生を最後まで守るために

民事信託の活用法

2016.11.28

民事信託の活用法Vol.2

親が亡くなった後に障がいのある子どもの面倒を誰がどのようにやってくれるのかは切実な問題です。住まいは障がいのある子どもが入ることができるグループホームや自宅などで確保ができたとしても、暮らしにかかる費用が必要です。

障がいのある子どものために財産を残す方法として信託があります。(信託の仕組みについては「民事信託の活用法その1」を参照)

今回のケースでは、親が委託者になり、財産を託す信頼できる家族などが受託者、親が亡くなった後に財産を受け取る障がいのある子どもが受益者となる信託を設定します。

信託をする時期は、親が元気なときに信託契約をする方法と遺言で信託をする方法があります。

信託を使うと、子どもが自分で財産管理ができない状態でも、財産管理を託された人(受託者)がいますので安心です。しかし、財産を誰に託すのかはとても重要なことです。子どもが障がいのある子のみであれば、信頼できる親戚に頼むという方法がありますし、障がいのある子以外にも子どもがいる場合では、兄弟姉妹の誰かに財産を託して面倒を見てもらうという方法が現実的でしょう。ただし、その際の財産の分け方には注意が必要です。

障がいのある子どもが心配であるあまり、その子により多くの財産を残してあげたいという親の気持ちもあるでしょうが、遺言などでいきなり信託すると揉め事になりかねません。それ故、信託の内容を含めて親なき後のことについては障がいのない子どもにあらかじめ話した上で理解をしてもらうことは、この制度を活用するにあたって欠かせないのです。そして、財産管理の不正などを防ぐために信託監督人を決めておくとよいでしょう。なお、親が亡くなった後、受益者である障がいのある子どもの信託財産は、相続税の対象になります。

さらに、信託では障がいのある子どもが亡くなった後の相続財産の行方まで決めることができるという点でも信託は役に立ちます。例えば、障がいのある子どもに相続人がおらず、その子どもに遺言を作る能力がないときは、面倒をみてくれた福祉施設や財産管理をしてくれた家族などの受託者に残った財産を渡すことができます。これは、成年後見制度を使って財産管理を任せるという方法ではカバーできない部分です。

併せて知っておきたい制度として、特定贈与信託というものもあります。一般的にこの業務は信託銀行等が行っており、特定障害者の生活の安定を図る目的で、財産を運用・管理して、特定障害者の生活費や医療費に充てる資金を定期的に委託者に代わって支払ってくれる仕組みです。この信託を利用することにより、特別障害者であれば6,000万円、特別障害者以外の特定障害者は3,000万円を限度として贈与税が非課税になりますので、こちらも比較検討の余地がありそうです。

いかがでしたでしょうか。障がいのある子どものための信託については法律の専門家だけでなく、現在関わっている主治医やヘルパーなどの福祉・医療・介護の関係者とも連携して子どものサポートができる体制作りをしておきましょう。

執筆者:DR’S WEALTH MEDIA編集部